『鳥師』(とりし)は、つげ義春による日本の漫画作品。1975年12月に、『comicばく7』(日本文芸社)に発表された短編漫画作品で連作シリーズ『無能の人』の第3話。つげ48歳の作品。
助川は競輪場裏のいつも5、6羽しか鳥のいない鳥屋「暗原小鳥店」を訪ねた。ウグイス、ヒバリ、メジロなどの飼育の面倒な和鳥ばかりを扱い、いまだにカスミ網などを売っている時代遅れな店だ。客の姿すら見たことはない。妻にも家出され、時代に背を向ける主人に助川は共感を覚えていた。主人は20年前に出会ったという謎の鳥師の話を始めた。彼の捕獲したメジロの声は素晴らしく深山幽谷を髣髴させ、写低震わせ、魂を揺さぶるほどだった。鳥師がいた頃の鳥屋はうわさを聞いた玄人集が集い、主人も得意の絶頂だった。しかし客も鳥師もいつしか姿を消した。