『ナムジ』は、安彦良和の全編書き下ろし漫画。1989年から1991年にかけ、徳間書店で全5巻が刊行された。
紀元2世紀末の日本。鉱山の奴隷ナムジは視察に訪れた出雲王スサノオの娘スセリに自ら志願し、淤宇の宮の馬丁として仕える身となる。大陸から渡来した一族によって統治される出雲において土着の倭人は格下の身分に甘んじる立場にあったが、露骨な階級社会に強く反発したナムジは、スセリの五兄イワサカと激しい乱闘を演じる等、問題児として危険視される。支配者層への報復心を募らせたナムジは狩りに出たスセリがエミシ族の襲撃を受け孤立した隙を突いてその処女を奪うが、スセリは逆にナムジへ想いを寄せるようになる。事の次第を知った四兄クライネはナムジを危険分子と見なし、エミシ討伐のどさくさに紛れて抹殺しようと画策する。山狩りの中で罠に嵌められたナムジはクライネの目論み通りに死にかけるが、道中で助けた霊女イセポに救われる。浜辺で意識を取り戻したナムジは大陸視察から帰還したスサノオの船に拾われる。