『嗤う伊右衛門』(わらういえもん)は、京極夏彦による日本の小説。第25回泉鏡花文学賞受賞作、第118回直木賞候補作。
御先手鉄砲組同心の娘・民谷岩は、2年前に疱瘡を患ってかつての美しい容姿を失うが、世間から笑われながらも凛とした態度を崩さずにいた。父である又左衛門は鉄砲の暴発で躰の自由を失い、お役御免になる前に何としても娘に婿を取らせて跡目を譲ろうと考え、出入りの足力按摩の宅悦から評判を聞いていた又市に婿捜しを依頼する。又市は3箇月の仕事の際に友人の直助の伝で用心棒役を任せた境野伊右衛門に目を付け、縁談の話を取り付ける。そして祝言を挙げた2人だったが、互いを想いつつも次第に不和が積み重なり、結婚して間もないにも拘らず言い争いが絶えなくなっていく。