『零落』(れいらく)は、浅野いにおによる日本の漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2017年7号から同年16号まで連載された。
冬。深澤薫は書店の漫画売り場にて、話題作が平積みされたコーナーを眺めていた。その中に置かれた『さよならサンセット』(以下『さよサン』)は、深澤によって描かれた、8年にわたる長期連載作品だった。売り場では『さよサン』の最終巻のスペースはあまり広げられておらず、発行部数も以前より減らされる始末だった。深澤は仕事場へ向かう前に判子を取りに自宅へ戻り、妻で漫画編集者の町田のぞみが仕事場へと出かけるところに鉢合わせる。去り際にのぞみが深澤に進めた漫画は、書店の漫画売り場で、深澤の作品を追いやるようにスペースを広げていた漫画だった。夜に開かれた『さよサン』の連載終了をねぎらう打ち上げで、深澤は関係者へ向けて挨拶するが、多くの人はスマートフォンを操作し、まるで深澤の話に興味がないような態度であった。その後、深澤はアシスタントの富田奈央とともにタクシーで帰路につく。車内で深澤は自分はもう終わった作家なのだと自嘲するが、富田もまた深澤の話に耳を傾ける様子はなかった。富田が降り、深澤は帰宅を止めて新宿方面へ戻る。