『ロストワールド』は、手塚治虫のSF漫画作品。副題は「前世紀」。
本作品には、執筆時期の異なる複数の版が存在する(後述)が、通常「手塚治虫の『ロストワールド』」と言った場合、不二書房から1948年に発売された単行本を指す。この不二書房版は、翌1949年に発売された『メトロポリス』、1951年発売の『来るべき世界』と共に「初期SF三部作」と呼ばれる、手塚治虫初期の代表作である。ただしストーリーや登場キャラクターは、手塚が少年時代から書きためていた習作、俗に「私家版」と言われる作品を踏襲している。その内容は、豊富なSFガジェット、また悲劇的・破局的な終幕など、当時の漫画には見られなかった要素を多々含んでいた。少年時代の手塚が「私家版」冒頭に掲げた「これは漫畫に非ず 小説にも非ず」という一文に、その自負がうかがえる。