『紅い花』(あかいはな)は、つげ義春が『ガロ』1967年10月号に掲載した短編漫画。雄大な自然の風景とノスタルジックなおかっぱ頭の少女を通して、独特の叙情世界を築き上げた作品である。『ねじ式』と対極をなすもう一つの代表作。
どこの地とも知れない山深い村にポツンと1軒の茶店。店番の少女、キクチサヨコは物憂げにため息をつく。そこへ、ふっと現れた釣り人。すかさず店に招き入れるサヨコ。貧しい家のサヨコは、一人で店を切り盛りしていた。やんちゃな同級生マサジは、いつものようにサヨコをいじめにやってくる。川岸には、紅い花が怪しく咲き乱れている。マサジは、一人川に入るサヨコの姿を見つける。そこで、思いがけず目にしたものは・・・・マサジの目の前を、不思議な紅い花が渓流の流れの中を舞うように流れていく。サヨコの様子に、マサジの心は微かに揺れ動く。[3]