『大場電気鍍金工業所』(おおばでんきめっきこうぎょうしょ)は、つげ義春による日本の漫画。1973年4月に『別冊・漫画ストーリー』(B5判 双葉社)に発表された全24ページからなる作品。下町の零細町工場をめぐる少年工員の体験談を描き、自伝的な内容となっている。
1年前に大場電気鍍金工業所の社長は肺を病んで死に(メッキ職人は必ず肺を冒される)、今はおかみさん(社長の妻)と、半年前に入った主人公である少年工員の義男の2人が、古ぼけた小さな工場で細々と研磨の仕事を続けている。義男が昼の弁当を食べる場所は、池の上に張り出したバラックで、池からは異臭がする。以前はここに元工場長の金子さん一家が住んでいた。義男が入社した時、すでに金子さんも体を壊して床に就いており、あたかも腐敗した内臓を排泄するかのようにバラック内にある床板の割れ目から排便していた。まもなく金子さんは死に、その妻とおかみさんが補償の件で怒鳴り合いをした後、金子一家は姿を消した。