『沼』(ぬま)は、つげ義春による日本の短編漫画作品。全28頁からなる。1966年2月に、『ガロ』(青林堂)にて発表された。
ハンチング帽を被り森に狩りにやってきた主人公の青年は、沼のほとりで、おかっぱ頭の無表情な少女に出会う。撃ち落としたはずの雁を探す青年に少女は、雁の胴体から切り離した頭を差し出す。少女は青年を自宅へ案内し、2人きりにすると扉を閉め切って身の上話をする。少女は部屋の中でヘビを飼っている。少女は、このヘビは少女が眠っているときに首をしめにくると語り、「夢うつつなれど 蛇にしめられると いっそ死んでしまいたいほどいい気持ちや」との言葉を残して眠りに就く。その夜、眠れない主人公は、そっと少女の首を絞める。翌朝、少女の義兄は、見知らぬ男を家に泊めたことで少女を責めるが、少女はヘビが逃げたことをしきりに訴える。主人公は1人、沼のほとりに立ち、対岸に向けて猟銃の引き金を引く。