『李さん一家』(りさんいっか)は、『ガロ』1967年6月号に掲載されたつげ義春の短編漫画。
ある日突然、郊外の一軒家で優雅な田舎暮らしを楽しんでいた主人公の家の2階に、在日朝鮮人で、鳥語を話す李さん一家が住み着いてしまったことに派生する日常的な事件の描写である。『ねじ式』、『ゲンセンカン主人』のようなシュールなストーリー展開や、『無能の人』シリーズに見られる主観性や暗さも無く、どこか覚めた目で自分自身に起こる事件の描写が淡々と綴られてゆく。そのユーモラスな展開と、ラストシーンの唐突な終わり方により、読者が受ける虚空に投げ出されたような空虚感が特に印象的である。漫画評論家の権藤晋は、この作品の魅力を、「ナンセンス・ユーモア、または不条理劇の面白さであり、深い哲学は無い」と表現した[1]。