『会津の釣り宿』(あいづのつりやど)は、つげ義春が1980年(昭和55年)5月に「カスタムコミック」(日本文芸社)に発表した25頁からなる短編漫画作品。
主人公の青年は友人と2人で奥会津へ旅をするが、目的の温泉(玉梨温泉)の旅館は洪水のため休業中だった。仕方なく別の民宿に宿を確保し、近くの渓流で魚釣りに興ずるが、釣果はさっぱりである。そこへやってきた地元の人らしき中年男に、彼が釣ったというヤマメを買わされる羽目になる。「大漁大漁!」と誇らしげに宿へ帰ってみると、なんとヤマメを売りつけた男はその宿の主人であった。「ちくしょう、それならこっちにもてがある」と友人は夕食時にバッグからウィスキーを取り出し、飲もうとする。ところがそこへ突然、主人がやってきたのであわててウィスキーをふすま一つ隔てた隣室に隠す。主人は布団の準備をして立ち去ったらしいが、主人が去った後確かめるとウィスキーが空になっていた。千鳥足で食事の片づけにやってきた主人は、2人に向かい酒は一滴も飲めないのだと告げ、うっぷせてしまう。