『赤い沼』(あかいぬま)は、高階良子による日本の漫画作品。
※収録作品:『赤い沼』, 『さらわれたアイドル』, 『闇におどるきつね』, 『わたしの中にへびがすむ!』, 『鬼あざみ』, 『バイオレットシャトーの昼さがり』, 『哀島洞窟』, 『防空壕』, 『樹霊の窓』, 『ふしぎな国の黒兎』
山間の村に、よくザクロを口にする少女・籠女がいた。彼女は鬼子母神を祀る鬼子母神(きしぼじん)の神社の境内に捨てられていたが、閉鎖的で歪んだ意識に囚われた村人から「余所者のあばずれの捨て子」だと虐待されていた。鬼子母神が子宝に恵まれない夫婦を憐れんで我が身を削り授けた子だとに気づかず、その夫婦にすら虐げられていた。ある日、童謡「かごめかごめ」を研究する青年・野上勇が現れ、村長・大場千造に手掛かりについて心当たりがないかを尋ねる。村長の孫娘・幸江や他の少女達は都会の青年に憧れ、野上と親しくする籠女に敵意を抱く。野上が「赤沼」の小島にある鬼子母神の祠を開けた直後、沼はその名の如く血のように赤く染まり村の子供が相次いで喰い殺される事件が起きる。実は200年前にも沼が赤くなり、惨劇が起きていたのだった。封印されたものが鬼子母神の「悪心」ならば銃撃で傷つく筈がないと疑問を抱いた野上は「邪心」が実体を得ているのではと考え、豹変して以降、最近ザクロを食べなくなった籠女が血の味を覚えたからだと思い至る。籠女自身も子供を食い殺していたことに撃たれて初めて気づくのだったが、祠を閉じに赤沼に向かった野上を殺そうとした悪鬼を咄嗟に彼が殺したことで籠女もまた絶命した。籠女の死を悼むかのように赤沼は水位を増し、祠とその小島は水中に沈んだ。お互いに恋心を抱いていた2人は血の惨劇により引き裂かれ、籠女を想い野上は何のために彼女は生まれて来たのかと嘆くのだった。