『アメリカン・パイ』は、萩尾望都による日本の漫画作品。漫画雑誌『月刊プリンセス』(秋田書店)にて1976年2月号、3月号に掲載された。アメリカのマイアミを舞台に、バンドのシンガーと自分の死が近いことを悟っている少女との交流を描いた短編。
マイアミで暮らすグラン・パは、あまり売れていないバンドのシンガーだが、気心の知れた仲間たちとともに気楽に過ごしている。ある日、浮浪児のような姿で1人ふらりとやってきた少女リューと出会い、居候させることになる。リューは自分のことは何も語ろうとせず、なんとなく微笑(ほほえ)みを浮かべ、いつもドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」を口ずさんでいる。そんなリューの様子が気になるグラン・パは、リューを自分のステージに上げ、好きなように歌わせてみると、リューは生まれ育ったボルドーのぶどう畑の情景を朗々と歌いだした。ある日のことグラン・パは、実はリューが不治の病に冒され余命幾ばくもないことを知る…。