『花物語』(はなものがたり)は、吉屋信子の少女小説である。少女の繊細な心模様を数々の花に托した54の短編からなる連作集であり、日本の少女小説の代表的作品である。吉屋が小説家として手がけた初めての作品であり、後に重版された単行本の序文で「小説家として世に立つことになった、大きな原因」となる作品であると述べている。
吉屋が20代の頃に執筆した短編連作集で、1編ごとに花にちなんだ表題を掲げ、独特の美文調で綴られている。1916年(大正5年)から1924年(大正13年)まで、雑誌『少女画報』に断続的に連載され、1925年(大正14年)7月から1926年(大正15年)3月にかけて『少女倶楽部』に3編が連載された。挿画は連載された雑誌ごとに異なり、『少女画報』の連載では亀高文子・清水良雄・蕗谷虹児らが描き、『少女倶楽部』の連載では中原淳一が描いた。また、1937年(昭和12年)から2年間、『少女の友』増刊号に再録された際にも中原が挿画を担当した。