『黒蜥蜴』(くろとかげ)は、江戸川乱歩の長編探偵小説。および、作中に登場する女性盗賊の俗称。小説は1934年(昭和9年)、月刊誌『日の出』1月号から12月号に連載された。宝石等「美しいもの」を狙う美貌の女賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が対決するトリッキイでアクロバティックな冒険物語である 。
江戸川乱歩の「明智もの」の一篇。本文で女賊の名は初出では「黒蜥蜴」だが、のちの出版で乱歩が「黒トカゲ」と改めている。作品の端々に乱歩が本分としている「エロ・グロ」の趣向がこらされ、また「自註自解」で「『黒蜥蜴』は戦前の私の多くの通俗連載長篇の一つで、私の小説では唯一の女賊ものである。美しい女賊と明智小五郎との、恐ろしくトリッキイでアクロバティックな冒険物語だが、この二人、追うものと追われるものの、かたき同士が愛情を感じ合う」と解説している。