『鹿男あをによし』(しかおとこあをによし)は、日本の小説家・万城目学のファンタジー小説である。
9月、「おれ」はひょんなことから大学の教授に勧められ、2学期の間限定で奈良の女子高の教師になる。しかし、生徒にからかわれたり、無視されたりとコミュニケーションが取れず、途方に暮れる。そうして迎えた10月。奈良公園の大仏殿裏にいた「おれ」の前に突如鹿が現れ、人間の言葉で話しかけてきたのだ。実はその鹿は1800年前から人間を守りつづけてきた存在で、60年に1度行われる「鎮めの儀式」で用いる目を運ぶ役(「運び番」)に「おれ」を任命する。目は人間界で「サンカク」と呼ばれ、狐の「使い番」を任せられた女性から渡されると話す鹿であったが、「おれ」は「使い番」に気づかず、挙句に違うものを渡される。鹿は「目を鼠に奪われた」と言い、状況が理解出来ない「おれ」に印をつけ、「おれ」の顔を鹿にしてしまう。そして鹿は「目を取り戻さないと日本が滅びる」と警告するのであった。ちょうど同じころ、東では火山性微動が続き、富士山が噴火する兆候にあった。