「夏の思いで」(なつのおもいで)は、つげ義春が1972年9月に北冬書房の『夜行』2号に発表した、30ページからなる短編漫画。
銭湯の帰り道、男はひき逃げを目撃する。先を歩いていたミニスカートの女性が、NKプリントの前で自動車にはね飛ばされる。男は草むらに倒れた女性に近づき「もしもし」と声をかけながら、パンツの中へ手を入れる。女性の口元がほんの少し開く。男はアパートへ戻ると、ひき逃げの事実だけを妻に伝える。警察に電話する妻、かかわりを恐れる男。電話口に出た男は警察に「あなたは見たんですね」と尋ねられ、「見たんです。わりと毛深い」などととんちんかんな答えを返す。2人でもう一度見に行くと、すでに人だかりができており、なぜか倒れたままの女性のパンツが膝の下まで脱げ落ちている。男は妻が女性の身の上をさまざまに推測するのに、うわの空の返事をする。